求められる国家資格「ガス溶接作業主任者」取得のメリットや受験難易度を紹介
より良い仕事につくために、ガス溶接作業主任者の資格を取得したいと考えている人もいるでしょう。または、すでにガス溶接作業主任者の資格を持っており、よりやりがいのある職場に転職したいと思っている人もいるかもしれません。そこで今回は、ガス溶接作業主任者の資格について、取得するメリットや仕事内容、資格の取得条件、受験方法などを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ガス溶接作業主任者とは
ガス溶接作業主任者は、正式にはガス溶接技能作業主任者と呼ばれます。ガス溶接の作業方法を決めて作業員に指示を出す責任者となるために必要な国家資格です。具体的には、アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接や溶断、または加熱の作業資格をもち、ガス溶接の作業方法の決定や作業者がいる仕事の現場を指揮する立場の人のことを指します。
工場や作業現場で、アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を使用する仕事をする場合、現場の責任者として必ずガス溶接作業主任者が必要となるのです。つまり、ガス溶接作業主任者がいないと溶接作業ができないため、非常に必要性の高い資格とされています。
ガス溶接作業主任者が必要とされる職場と資格取得のメリットについて
ガス溶接作業主任者は、主にアセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を使う工場や作業現場で必要とされます。例えば、金属製造業、板金・塗装業、自動車・機械修理業、建設・土木業、管工事業、解体工事業などです。ガス溶接の作業者に指示を出し、現場の指揮をとるガス溶接作業主任者は、これらの職場で必ず必要とされます。これは、溶接作業に使用する可燃性ガスが、爆発や火災などの危険を伴う作業として、労働安全衛生法施行令第20条第10号に規定されているためです。ちなみに、溶接作業に使われる可燃性ガスとは、アセチレン・水素・LPガス・メタン・石炭ガス・都市ガスなどを指します。
ガス溶接作業主任者の資格を取得するメリットは、就職や転職に非常に有利となることです。これは、ガス溶接作業主任者の資格が、試験に合格できる専門知識と3年以上の実務経験などを必要とするため、誰もがすぐに取得できる資格ではないことが理由です。また、溶接現場では必ず必要とされる資格であることも、強みとなっています。
ガス溶接作業主任者の試験科目と有効な勉強方法とは
ガス溶接作業主任者の資格を取得する試験は、学科試験のみであり、実技試験はありません。学科試験には、以下のような4つの科目があり、それぞれ5問ずつ25点が配されています。
・ガス溶接等の業務に関する知識
・関係法令
・アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識
・アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識
試験は、5つの選択肢から解答を選択する形式で進められるため、専門用語を一字一句正確に覚えていなくても、ある程度の対応は可能といえるでしょう。試験時間は3時間で、全20問です。また、出題傾向は過去に出題された問題の類似や変化形が多いとの特徴を持つとされています。そのため、勉強方法としては、過去問題集に重点を置くのが非常に有効です。過去問題集は、書店やインターネットで購入できるほか、「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」の公式サイトにも公開されています。
ガス溶接作業主任者の取得条件と受験資格・受験方法
ガス溶接作業主任者の資格は、主にガス溶接作業の資格を取って働いている溶接工が、さらなるステップアップを目指して取得するものといえるでしょう。そして、資格の取得には、試験に合格したうえで、以下に示す11の条件の内のいずれかが必要です。
1.ガス溶接技能講習修了後、ガス溶接などの業務で3年以上の実務を経験していること
2.大学または高専において、溶接に関する学科を専攻して卒業していること
3.大学または高専において、工学または科学に関する学科を専攻して卒業し、1年以上ガス溶接等の実務経験があること
4.塑性加工科、構造物鉄工科または配管科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者
5.普通課程の普通職業訓練(金属加工系溶接科)、養成訓練(溶接科)を修了した後、2年以上ガス溶接等の業務に従事した経験を有する者
6.鉄工、建築板金、工場板金または配管の1級か2級の技能検定に合格し、その後1年以上ガス溶接等の実務経験を有する者
7.旧保安技術職員国家試験規則による溶接係員試験に合格した後、1年以上ガス溶接等の実務経験を有する者
8.専修訓練課程の普通職業訓練(溶接科)、専修訓練課程の養成訓練(溶接科)を修了した後、3年以上ガス溶接等の実務経験を有する者
9.養成訓練(金属成形科)を修了した者
10.長期課程の指導員訓練を修了した後、1年以上ガス溶接等の実務経験を有する者
11.防衛大学校を卒業した後、1年以上ガス溶接等の実務経験を有する者
また、資格を証明する免許の申請には、1,500円分の収入印紙が必要です。
次に、ガス溶接作業主任者の受験資格と受験方法を紹介していきます。受験は、本人確認証明書があれば誰でも受けられます。つまり、年齢や学歴は不問です。受験するためには、申請書を提出して受験票を受け取る必要があります。申請書は、安全衛生技術試験協会の本部や各地域の安全衛生技術センターで無料に配布されているほか、郵送での請求も可能です。
試験は6月と12月に行われます。試験会場は、6月は宮城・愛知・兵庫・広島・福岡、12月は北海道・宮城・千葉・愛知・兵庫・広島・福岡の各県での設置です。なお、試験の手数料は6,800円(非課税)となっています。また、いくつかの条件にあてはまると、4つある試験科目の内、「アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識」と「アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識」の2つが免除されるのです。以下にその条件を紹介します。
・大学(短期大学を含む)または高等専門学校において、溶接に関する学科を専攻して卒業した者
・構造物鉄工科または配管科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者(とくに、塑性加工科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者は無試験で免許が受けられる)
・普通職業訓練(金属加工系溶接科)を修了した者で、その後2年以上ガス溶接等の業務に従事した経験を有する者
・鉄工、建築板金、工場板金または配管の1級の技能検定に合格した者で、その後1年以上ガス溶接等の業務に従事した経験を有する者
また、1年以上ガス溶接等の業務に従事した経験を持ち、以下の条件にあてはまる者も同様です。
・大学(短期大学を含む)または高等専門学校を卒業した者
・大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者
・省庁大学校(防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、職業能力開発総合大学校の長期課程・総合課程、気象大学校の大学部及び国立看護大学校の看護学部看護学科)を卒業した者
・専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者などで、その後、大学などにおいて大学評価・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者
・指定を受けた専修学校の4年以上の専門課程を、一定日以後に修了した者など
以上の条件に当てはまるなら2つもの試験科目が免除されるため、必ず確認しておきましょう。
ガス溶接作業主任者の受験難易度と合格率について
ガス溶接作業主任者の受験の合格条件は、科目ごとの得点が40%以上で、かつ、総得点が60%以上であることです。試験の難易度は、偏差値表示で「41」とされています。また、以下に示すのは年ごとの合格率です。
・平成29年度合格率:85.1%
・平成30年度合格率:85.8%
・令和1年度合格率:89.4%
・令和2年度合格率:84.8%
・令和3年度合格率:82.0%
以上の統計から、ガス溶接作業主任者の平均合格率は、約85%と算出されます。
ガス溶接作業主任者と類似している資格とは
ガス溶接作業主任者と類似している資格には、「ガス溶接技能者」があります。ガス溶接技能者とは、実際に溶接を行う人に必要となる資格のことで、溶接を仕事とする職場への就職には必須です。そして、この資格を取得してから3年の実務経験を積むことが、ガス溶接作業主任者にステップアップする条件となります。
ガス溶接技能者の資格は、「ガス溶接技能講習」を修了することで得ることができます。ガス溶接技能講習は、18歳以上なら受講可能であり、学歴は不問です。講習は2日間にわたって行われ、学科8時間・実技5時間となっています。講習内容は、学科が「設備の構造、取り扱いかた」「可燃ガスの正しい使用方法」「酸素との関連」で、実技が「点火方法」「ガス溶接に使用する用具の使いかた」です。ガス溶接技能者は、ガス溶接作業主任者への踏み台となる資格ですので、取得しておくのが望ましいといえます。
ガス溶接作業主任者を取得してより良い仕事を手にしよう
ガス溶接作業主任者は、試験に合格したうえで3年以上の実務経験が必要になるなどの条件があるため、すぐに誰でもが持てる資格ではありません。しかし、ガス溶接を仕事とする職場には必ず必要とされる資格であるため、資格所有者は就職や転職に非常に有利となるのです。溶接業界へ就職するのなら、ステップアップを目指してガス溶接作業主任者の資格を取得し、より良い仕事を手にしましょう。