半導体製品製造技能士の資格を取得するメリットや難易度
さまざまな電化製品・電子機器などに組み込まれている半導体。所定の機能を発揮し安定した品質の半導体が組み込まれていないものはきちんと動作しません。そのため、半導体製造工場で働く半導体製品製造技能士は需要のある資格であるといえます。ここでは半導体製品製造技能士の資格を取得して活躍できる場所や、取得するメリット、難易度などについて解説します。
半導体製品製造技能士は半導体製造工場で勤務していれば挑戦しやすい資格
半導体製品製造技能士は、電気の流れをコントロールするトランジスタ、複雑な処理などを行うICチップ、電気の流れを一方向のみにするダイオードといった半導体製品の製造・生産設備に関する知識・技術があることを証明する国家資格です。半導体製造工場での勤務経験が必要になる資格なので、勤務している人であれば挑戦しやすい資格といえるでしょう。
働きながら知識や技術を身につけられるため、まじめに勤務していれば、実技試験においても有利になる可能性があります。学科に合格するには知識が必要になるため、仕事をしているときに経験者に積極的にわからない点を質問するといった方法も有効です。いずれ半導体製品製造技能士の検定を受ける予定がある場合は、日ごろから意識して行動をしておくことが大事であるといえます。
半導体製品製造技能士の仕事内容と取得するメリット
半導体製品製造技能士は主に半導体製造工場のクリーンルームで活躍しています。クリーンルームは温度・湿度、空気の清浄度などをすべて一定に調整して管理された作業部屋です。ルールが厳しく、髪やホコリなどをきれいに落としたうえで専用のクリーンスーツを着用して単調な作業に取り組むため、こういったことが苦手な人には向かない仕事といえます。
仕事内容
自動化されている専用機器を使い半導体の材料を加工して半導体製品を製造することや、半導体の集積回路などを製造するのが仕事です。製造以外では品質管理、設備管理、営業といった業務もこなします。
取得するメリット
半導体製品製造技能士の資格は半導体製造工場に勤務していれば経験と知識を現場で得られるため、受験する条件を得られるので挑戦しやすいです。また、勤務している工場が社員の資格取得に積極的な場合は、資格を取得する際にかかる費用を負担してくれるケースもあります。受験する費用として、実技で1万8,200円、学科で3,100円(令和5年3月現在)必要です。合計2万円ほどかかるため、この費用を負担してもらえるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
さらに、取得すれば、半導体製品製造における信頼性もアップすることが期待できます。ほかには、職業訓練指導員試験の一部もしくはすべての受験を免除、労働安全コンサルタント試験や作業環境測定士試験の受験資格を得るといったメリットもあるので、スキルアップをしたい人にはおすすめです。
半導体製品製造技能士の資格の種類
半導体製品製造技能士は2級、1級、特級の3種類あります。それぞれの違いについて見てみましょう。
2級・1級
2級・1級は半導体製品の加工や集積回路組立の知識や経験が求められる資格です。そのため、仕事においても主に半導体の基板を洗浄したり、半導体製品の基盤になるシリコンウェーハの薄膜を作ったりなど半導体製品の加工・組立ができます。また、実際に組立済の半導体製品を検査したうえで、問題がなければ印字をするマーキング作業をすることが可能です。
特級
特級取得者は知識・経験ともに十分備わっていると認められ、工場内でもチームのリーダーとして指導したり、材料の仕入れ・品質管理などを行ったりします。同時に、安全衛生や設備についても十分に気を配り、定期的にチェックするといった業務に携わることができます。
半導体製品製造技能士の試験内容とは
半導体製品製造技能士の実技試験については前述していますが、さらに詳しい内容について実技と学科の両方を解説します。
2級と1級
2級と1級の試験内容は共通部分が多いです。実技は集積回路チップ加工もしくは集積回路組立から選択となります。学科は半導体一般や電気回路、製図、安全衛生、公害防止・そのほかの環境保全、半導体製品製造法一般などです。学科も集積回路チップ製造加工もしくは集積回路組立から選択して受験します。
特級
特級の実技は工程・原価・作業・品質・安全衛生・設備の管理に加えて作業指導も含まれています。学科は実技と同じ内容ですが、安全衛生管理とともに環境の保全についての勉強も必要です。また、半導体製品製造に関する現場技術の試験もあるため、現場での経験が必須といえるでしょう。
半導体製品製造技能士の受験資格・受験方法
半導体製品製造技能士の受験資格は次のとおりです。
2級
2級は、半導体製造工場での実務経験が2年あれば受験できる資格です。いきなり1級から受験することも可能ですが、受験条件となっている実務経験の年数が長いため、まずはこちらから受験してみるのがおすすめです。
1級
1級は2級合格後1~2年の実務経験、もしくは3~7年の実務経験が必要です。実務経験については学歴によって異なり、実務経験のみで1級を受験したい場合は7年以上必要になります。2級よりも作業業務の範囲が幅広くなって勉強しなければならない内容も多いです。
特級
特級は1級合格から5年の実務経験が必要です。つまり、特級を受験するには半導体製造工場で勤務するようになってから最短9年、実務経験のみで受験をするのであれば最短14年の勤務年数が必要になります。特級まで取得できれば工場内でもリーダーのような役割ができる可能性があります。
受験方法
受験のための申請書は各都道府県の職業能力開発協会から送ってもらう必要があります。まずは各都道府県の職業能力開発協会宛に「技能検定 受検申請書 送付依頼書」、申請書を送ってもらう際に必要な分の切手(1部140円)を同封して郵送しましょう。申請書が届いたら記入して送り返します。申請後に受験の手数料の請求書が届くので確認し、指定の銀行口座に振り込みます。その後、受験票とともに実技試験の問題についての書類が届けられるので確認が必要です。受験票を持って当日試験を受け、後日合否発表があります。
半導体製品製造技能士の合格率は約35%
半導体製品製造技能士は令和3年度の受験者数が1068人、合格者数は379人でした。合格率は約35.49%となっており、電気・電子関係のほかの技能検定と比較すると低めです。ただ、こちらは特級の合格者数も含まれているため、全体合格率が低くなっていると考えられます。合格者については各企業において「匠社員が育ち・活躍する職場づくり」などとして、積極的に活用する取り組みが行われている状況です。そのため、給料アップや活躍できる場が増えるなどやりがいのある仕事に従事できる可能性が高くなるといえるでしょう。
難易度については2級や1級は特級と比較して低めと考えられますが、実技については経験がそのまま試験に影響します。そのため、日常の仕事をするなかで技術を身につけていくのが良いでしょう。学科については過去問題集が中央職業能力開発協会のホームページにて確認できるので、出題傾向や繰り返し勉強するなどして対策可能です。特級は実技や学科などにおいてさまざまなものの管理や作業指導といった内容が含まれています。こちらも長い経験のなかで意識的に身につけていく必要があります。特級の受験資格において実務経験が長いのは、そういった理由からです。
半導体製品製造技能士は半導体製造のプロフェッショナル
半導体製品製造技能士は、自分の蓄積してきた知識や経験をわかりやすい形として証明できる国家資格です。半導体を取り扱う際にはクリーンルームと呼ばれている専用部屋で作業をコツコツすることになるため、就職・転職をする際には集中力の高さをアピールすることもできるでしょう。2級、1級、特級があり、2級以外は実務経験がそれぞれ必要なので、長い期間をかけて上位資格の取得を目指すのもおすすめです。